百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2019年2月25日月曜日

平穏な生活

人々からの損われることのない安全は、煩いごとを排除しうる何らかの力によっても、或る程度までは得られるけれども、その最も純粋な源泉は、多くの人々から逃れた平穏な生活から生まれる安全である。
『エピクロス —教説と手紙—』(出隆・岩崎允胤訳/岩波文庫)、「主要教説」十四