百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年9月12日火曜日

ひと夜さ

わたしたちは、かつて、目が覚めていたし、やがて、ふたたび、目を覚ますであろう。人生は、ひとつの長い夢に充たされたひと夜さであり、夢のなかでは、人は、とかく、うなされる。
「自殺について」(ショーペンハウエル著/石井立訳/角川ソフィア文庫)より