病気のとき、メグレはアレクサンドル・デュマの小説に読み耽るのが習慣だった。そのため、黄色い頁にロマンチックなさし絵の入った古い廉価版のデュマ全集をもっていた。これらの本が発散する匂いは、なににもまして、メグレに、これまでかかったあらゆる軽い病気のことを思い起こさせるのだ。……