百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年6月23日金曜日

人生の独立

人が頭に思想を持ち、グラスにワインがあるならば(これは人生の独立を表現するのに私が気に入っているやり方である)、わざわざ他人の前に足を投げ出すには及ばない。行きたまえ。というよりむしろ、行かないでいたまえ。
「高貴なる人々に贈る言葉」(バルベー・ドールヴィイ著/宮本孝正・編訳)より