百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年12月11日月曜日

芝居納め

今日の日中だけは温かいらしい。水筒に日本酒を詰め、デパートの地下でお弁当を調達し、歌舞伎座へ。

「十二月大歌舞伎」の第一部を観劇(今月は三部制)。「実盛物語」と「土蜘」。幕の内の残りを肴にお酒を飲みながら観ていたら、いつの間にか気持ち良く、うとうととして半分くらい寝ていたかも。とは言え、今年の芝居納めは土蜘退治で、一年の厄落としになったに違いない。

ちなみに、「土蜘」の「叡山の僧智籌実は土蜘の精」を演じたのは松緑。まあ過不足ない感じか。侍女胡蝶役に梅枝。私は梅枝の顔がけっこう好きだ。

今年もほぼ毎月、歌舞伎座に通ったが、私が観た内での本年度ベストは、十一月「元禄忠臣蔵」より「大石最後の一日」のおみの役の児太郎かな。