百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年12月22日金曜日

掛取り

暮れの寄席納め。お茶を水筒に詰めて、スーパーで押し寿司と銅鑼焼を買い、鈴本演芸場へ。

いつもは空いているので安心していたら、既に待ち行列が。今から並んでも立ち見かどうかぎりぎりだと言う話で、普段だったら確実に帰っていたが、今年最後だからと並ぶ。結果、運良く、席をとってもらえた。

今、鈴本は毎日日替わりで主任が「掛取り」を演じるという年末企画中。今日の主任は柳家喬太郎で、借金取りに来た落語好きを「芝浜」で、小演劇好きを「熱海殺人事件」で、寄席好きを落語家の物真似で、特撮好きをウルトラマンセブンの最終回で追い返すというスペクタクルな「掛取り」だった。

立ち見の出る大混雑にやや後悔したものの、個人的には龍玉の「強情灸」と一朝の「片棒」が良かったのと、最近、襲名された立花屋橘之助二代目(元、小円歌)が見られたので、今年を縁起良く納められたかな、と。

いつもより早く 16 時に終了したので、蕎麦屋に寄り道せずに帰宅。