百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年5月5日金曜日

蘭とビールとミステリと

今日もいつもと同じく平穏無事に、そして適度に(私自身にとっては)生産的な一日を過して、夕方。蘭と、ビールと、レックス・スタウトの短篇「殺人鬼はどの子?」。

温室一杯の蘭の世話係と、料理人兼家事係と、助手の三人を雇えるほど財産を蓄えてから隠居できなかったのは心残りだが、そのつもりならメトセラくらい長生きをする必要があったろう。それなりの幸せで満足することを知ることが大事だ。

でも秘書の一人くらい雇えるまで頑張っても良かったんじゃないかなあ、と思わないでもない。