百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年5月31日水曜日

Quantum Computing since Democritus

今朝、"Quantum Computing since Democritus" (S. Aaronson / Cambridge) を読了。一年くらいかかったように思ったが、読書メモを参照するとまる二年以上を費していた。

私がこれまで読んだ一般読者向けの科学啓蒙書の中では、最も知的な本だった。計算複雑性の理論の入門書(?)なのだが、本当に分かっている人はこんなに色んなことと自分の研究分野がつながって、しかもすっきりと見えているのだなあ、と感心。

この "Quantum ..." より知的なのは、おそらく "The Road to Reality" (R. Penrose / Vintage) くらいか。ただし、私はこの本を途中で挫折して、四分の一程度しか読んでいないので、定かではない。暇だし、再挑戦してみようか。

しかし、"The Road to Reality" が "The Sunday Times Top Ten Bestseller" って本当なのだろうか。"Times" の購読者は一体どこまで知的なんだ。